プレスリリース / Pressemitteilungen
1. 会長挨拶 / Grußwort des JGG-Präsidenten [J]
(ニュースレター2023 秋号/JGG-Info-Blatt Herbst 2023より抜粋)
青天の霹靂
このたび2023年6月3日開催の理事会で会長に選出されました小黒です。選出はまさに青天の霹靂,事実,私は第40代会長であるばかりではなく,日本独文学会76年の歴史において首都圏以外から初めて選出された会長になります。思い返しますと,2015年1月に機関誌153号特集編集責任者を仰せつかった後,引き続き文学・文化部門の編集責任者として160号までの編集に携わりました。編集委員会が関門海峡を越えて九州に置かれたことは初めてのことだったと伺っております。あまりにも荷が重かったので,2020年3月の退任後,学会でのお役目はこれで十分に果たしたと思っておりました。それだけに,会長に選出されましたことは本当に驚きだったのです。ここではそんな私が7月22日の新理事会冒頭で述べましたことをお伝えさせていただきます。
余人をもって代え難し
当方,理事として企画や機関誌の経験はありますが,学会の実務にあまり通じていません。それだけに「脇を固めろ」という内なる声が聞こえてきたような気がしました。それで,庶務理事を選ぶ際,清野智昭さんと小林和貴子さんにまずはお願いした次第です。会長選挙の決選投票まで候補者としてお残りになられたお二人には,会員の「民意」が反映されています。しかも,清野さんは法人化の経緯を知っている経験豊富な元会長ですし,小林さんはこれまでの議論に通じている前理事会メンバーです。また,太田達也さんも川島建太郎さんも理事会経験が豊富であるばかりではなく,私にとって苦楽を共にできる仲間です。皆さんのご快諾に心より感謝しております。余人をもって代え難し,そんな思いでこの四人に重責をお願いしました。
Klein, aber fein
私は西日本支部と北海道支部の会員でもありますので,地方の視点も踏まえて会長職を考え続けているところです。西日本支部は,1999年にアジア地区ゲルマニスト会議を引き受けた頃から,元気があるとよく言われます。勿論,西日本支部でも会員は減少傾向です。しかし,却って結束が固まり,逆に元気になっているような気がします。理由はいくつかありますが,それは別の機会に話すとし,ここでは一つの逸話を紹介させてください。私が支部選出理事だったとき,学会懇親会について縮小や廃止の意見が理事会で相次ぎました。この事を支部幹事会で伝えたところ,複数の方々が言われたのです。「支部ではたとえ研究発表がなくても懇親会だけはきちんとやりましょう」と。会員の減少を逆転の発想で考えることはできないでしょうか。私はそう考えております。
血行の良い学会
もっとも言うは易く行うは難しです。前理事会は学会活動のスリム化を基本方針とされました。持続可能な学会のためにも,そうしたご対応をしっかりと受け継いでいきます。同時に,コロナ禍で学会運営を行った前理事会とは異なり,新理事会は対面での活動が復活する状況に対応していかなければなりません。加えて,多々ある課題の中でも,支部の活性化とハラスメント宣言の実行化は特に重要です。いずれもしっかりと取り組まなければ,身体論的に言いますと,学会全体の血行が悪くなり,学会の身体機能も一挙に低下してしまいます。特にハラスメントに関しては,前理事会が出された防止宣言を,単なる宣言にならないようにしなければなりません。問題発言があればその場で皆が指摘し合える雰囲気を作っていきたいと思っています。
ご助言とエール
なお,前会長の井出万秀さんには会長引き継ぎの際に色々とご教示をいただきました。最後になりましたが,この場をお借りしまして御礼を申し上げます。また,旧理事会の皆さん,コロナ禍での2年間,本当にご苦労様でした。皆さんの献身的な活動をしっかりと受け継いでいきます。また,私事になりますが,この間,福岡で保阪靖人さんとベルリーンで粂川麻里生さんとそれぞれお会いする機会がありました。私自身が会長職の重責にかなり戸惑っていた時だったので,日本独文学会の活動に精通するお二人からご助言とエールを受け取ることができ,本当に良かったです。有難うございました。皆さんの思いをしっかりと受け止めながら,血行の良い学会運営を実践し,一致協力して持続可能な学会を目指していきたいと思っています。
(会長 小黒康正)
最終更新日時: 2023年 09月 15日(金曜日) 13:30