カテゴリ一覧
 
オンライン状況
15 人のユーザが現在オンラインです。 (1 人のユーザが コラム を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 15

もっと...
ログイン
ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失

須賀洋一(関西学院大学名誉教授)
ヘッベルは1813年3月18日に北ドイツの小さな町ヴェッセルブーレンに生まれている。町の規模からすると、不相応に大きな教会が町の中央にでんと控え、町のシンボルになっている。町の道はこのバルトロマイ教会を中心にして、各方面に放射線状に伸びている。私の書斎には、町に一軒しかない本屋で買い求めた小さな水彩画が掛かっているが、その絵は教会のやや青味がかった尖塔を囲んで左右に伸びているこの町の全景を描いている。今年は生誕200年ということもあり、さまざまな記念行事がおこなわれ、また詩人の没後150年ということもあり、ヘッベル協会が主催する詩人の生地へのバス旅行も企画されている。私はこれまでに四度ほどこの町を訪れているが、その度にヘッベルムゼウムの壁一面の本棚に、整然と並んだ研究論文に圧倒されたことを今でもありありと覚えている。1999年に訪れた時は、新聞記者の訪問を受け、翌日の新聞にれいれいしく記事がのり、面映ゆいおぼえをしたことが、いまになるとなつかしく思い出される。新聞の見出しは“Besuch aus Fernost im Hebbelmuseum”であった。

...続きを読む

  • 閲覧 (4214)
義則孝夫(関西学院大学名誉教授)
数年前、まだテレビのデジタル化が進んでいなかった頃、衛星放送は特別扱いで、NHK にはBS1、BS2、BS3 と三つのチャンネルがあって、それぞれ特殊なテーマの画面を提供してくれた。私はその頃、テレビと言えばもっぱらこのBS放送を見ていた記憶があるのだが、そんなある日、どのチャンネルか覚えはないが、突然、何の由縁もなく、……というのは、おそらく番組の変わり目であったのであろうが、私の思いでは、その前後の画面とは何らの関係もなく、まったく唐突にどかりと、ブラウン管全面を巨大文字で占領して、Ludwig van Beethoven の名前が表示されたのである。しかも、それには次のようなルビが付してあった。〈ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン〉(?)…… 私はこれを見て、思わず吹き出してしまった。次いで、思わず知らず、頭を左右に振っていた。これはいかん、という所作である。テレビのことだから、たいていの愚昧は辛抱するが、ドイツ語講座などを正規番組で放送しているNHK がこんな過ちを犯してくれては困るのである。昔、テレビの開花期に「国民一億総白痴」という名文句を吐いた硬骨の評論家(たぶん大宅壮一さん)がいたが、わざわざ用もないのに原語を示してその下にルビを付せば、このドイツ語はカタカナ書きのとおりに発音するのだと、誰しもそう教わったと思うのが人情である。ところがこれは実態に反する。このカタカナ書きの中に幾つ誤りがあるか、お分かりかな。まず始めの〈ルード〉は〈ルート= 清音〉である。次いで〈ヴァン〉はドイツ語学習者には不満であろうが、〈ファン〉である。ここはオランダ語風に濁音〈ヴ〉ではない。次いで最後に苗字は造語的に区切れば〈Beet・hoven〉であって、したがってその発音は〈ベートホ―フェン〉である。日本人に親しい、というよりも全世界で親しまれているベートーヴェン= ベートーベンは、ドイツには居ないのである。

...続きを読む

  • 閲覧 (4666)
樋口忠治(九州大学)
高等学校卒業時にドイツ語担当の磯部講師(医学部進学課程教授)に勧められて、九州大学文学部独文科に赴任してまもない高橋義孝教授のもとで学ぶことにした。ここでは、ドイツ文学の他、S.フロイトやC.G.ユングの深層心理学およびA.ハウザーの芸術史の哲学を学んだ。また、印度哲学科の伊原照蓮助教授から古典サンスクリットの手ほどきを受けた。古典サンスクリットを学んだことは、後にドイツ語文法の理解をする上で大いに役立った。例えば、ドイツ語における「再帰動詞」の全体像は、サンスクリット文法におけるアートマネーパダとパラスマイパダの理解がなければ判らない。

...続きを読む

  • 閲覧 (6348)
高辻 知義(九州産業大学)
この春、フランクフルト大学のラルフ・ライナー・ヴーテノー名誉教授が、日本独文学会の招きで来日し、戦後の日本のゲルマニスティクを回顧する企画で講演しました。以下、日本の独文学界への積年の貢献とその人柄を紹介しましょう。1928年2月24日、北ドイツのレンツブルクで生まれた先生は戦後、ハイデルベルク大学でゲルマニスティクを学び、1952年に„Josef Hofmiller als Kritiker und Essayist“の題で博士号をとりましたが、当時、ゲルマニスティクが芸術作品を相手にする学問である、という意識もない教授たちに対して不満があり、ロマニスティクや比較文学研究へと関心を広げました。同時に、外国へ出たいという気持と遠い日本への憧れが目覚めてきた中で、ドイツ滞在中であった手塚富雄東大教授に紹介され、外国人教師の職を世話されて、ヴーテノーさんが岡山大学へやってきたのは1956年でした。

...続きを読む

  • 閲覧 (4966)

認識の色メガネ?(K.Hosaka)[J]

カテゴリ : 
ゴールデン・リレーエッセイ
  投稿日: 2007-11-11 9:38
保坂一夫(日本大学)
かつて、ハインリヒ・フォン・クライストは、カントを読みその物自体と現象に関する哲学に影響されてヴィルヘルミーネ・フォン・ツェンゲ宛に「われわれが真理と呼ぶものがほんとうに真理なのか、それともそう見えるだけなのか、われわれには決定できません」と書き送り、併せてその根拠を、ガラスの比喩を用いて「もしもすべての人間が眼でなく緑色のガラスをつけているとしたら、人間は、自分がそれを通して見ている対象が緑色であると判断せざるをえないのです」(„wenn alle Menschen statt der Augen grüne Gläser hätten, so würden sie urteilen müssen, die Gegenstände, welche sie dadurch erblicken, sind grün“)と説明した。1801年3月22日のことである。

...続きを読む

  • 閲覧 (6727)
池田 紘一(長崎外国語大学)
 日本で初めてのアジア・ゲルマニスト会議を西日本支部の担当で福岡の地で開催してもらえないか、保坂一夫理事長からこう相談を受けたとき、私は躊躇なく協力を約束した。危機に瀕している日本のゲルマニスティクの現状打開に少しでも役立つことであれば何でもやってみる、これを常日頃から信条としていた私は、またとないチャンスだと思った。特に、九州・山口・沖縄は東京や関西と違って、外国の優れたゲルマニストと出会う機会も少ない。学会員にも、学生たちにも刺激になる。一般市民にもアピールできる。

...続きを読む

  • 閲覧 (5151)

情報の洪水(M.Matsumoto)[J]

カテゴリ : 
ゴールデン・リレーエッセイ
  投稿日: 2007-9-29 17:44
松本道介
 六月下旬のテレビで「三十代のウツ」という題のドキュメンタリー番組を見た。この種の番組は失望することが多いのであまり見ないのだが、番組予告などでさかんに宣伝するのでつい見てしまった。
 案の定失望した。番組は三十代の会社員がウツになる様子を伝える。三十代になると係長などになって何人かの部下を持つが、部下からの相談や上司からの要求の板ばさみになり、もがくように生きているうちにウツになる。
 あとはご当人がカウンセラーに相談して会社を休み薬などのんで回復を待つところで終ってしまい、それ以上の問題追求がまったくない。

...続きを読む

  • 閲覧 (4251)
清野智昭(千葉大学)
4月から9月末までNHKラジオドイツ語講座入門編 <謎の女 Die geheimnisvolle Frau> を担当しました。このエッセイでは,その講座を聴いてくださったリスナーの皆さんへの感謝の気持ちを伝えるとともに,私がこの経験を通じて考え感じたことを書こうと思います。
幸いにも講座の放送中,そして,特に終了時に多くの方から温かいお言葉をいただきました。番組に宛ててお手紙をいただいた方々だけでなく,インターネットの例の巨大掲示版にもメッセージを書いてくださった方々がいます。私は,それに感激して,不用意にも,その掲示板に本名で書き込んだのですが,それに対して,「本人と特定できる信頼できる媒体で発表した方がいい」と忠告してくださる方がおり,ちょうどこのエッセイに寄稿するように頼まれていたこともあり,この場をお借りすることにしました。(なお,上のご忠告は誠にありがたいもので,その掲示板に「これ以上私は書き込みません」という2回目の投稿をした後にも,私の名を騙る書き込みがあります。ドイツ語の掲示板にはそのような方はいらっしゃらないと思っていたので,ショックを受けるとともに,ネットという匿名の世界の怖さを体験しています。)

...続きを読む

  • 閲覧 (13464)
神品芳夫
「ゴールデン」というのがちょっと面映いですが、趣旨には賛同しますので、皮切りの役目を引き受けます。去る6月に日本独文学会60周年を記念したシンポジウムで基調報告を行ないました。自分なりの切り口で学会60年を振り返ったつもりでしたが、皆さんの反応は「可もなく不可もなし」というところだったでしょうか。「総花的過ぎてつまらない」とは自分でも思いましたが、一応還暦のお祝いですから、致し方なかったと思います。しかし、そのとき指摘した過去のさまざまな問題点については、今後私たちが掘り下げて検証を進めなければならないと思っていました。

...続きを読む

  • 閲覧 (4185)
谷川道子(東京外国語大学・前広報担当理事)
「日本独文学会」の創立は1947年5月25日、今年は60周年ということで、東京大学駒場キャンパスで開催された61回総会・春季研究発表会の初日6月10日に記念シンポジウムが開催されたのですが、基調報告の神品芳夫氏をはじめとした池田紘一、高橋輝暁、田邊玲子、松本道介の5人のパネリスト諸氏の提言と論議はさまざまな意味で興味深く示唆的でした。それを聞きながら、それぞれのゲルマニスティクへの対峙の仕方にジェネレーション・ギャップというか、視角の違いのようなものも感じ、それはそれでとても面白く、当然でかつ必要なことだと思い、その間にもっと対話・意志疎通の場があるとさらに有益で面白いのではないかとも思いました。

...続きを読む

  • 閲覧 (2951)
Japanische Gesellschaft für Germanistik © 2005-2009