「会長挨拶」(新)

ご挨拶

日本独文学会会長  松浦 純


 
日本独文学会は、終戦後2年も経たない1947年5月25日、約150名が参集した創立総会で、「獨逸文學ノ研究及ビ普及ニヨッテ日本文化ノ健全ナル發達ニ貢献センコト」を目的として「廣ク獨逸文學ニ關心ヲ有スル者」によって組織され、発足しました。半年後刊行された学会誌『獨逸文學』創刊号では「ヒューマニズム」が特集され、学会の目的の規定とともに、破局を経たわが国のドイツ語ドイツ文学研究の再出発を担われた諸先輩の意気込みと模索がうかがわれます。会員数は、1949年秋に発行された名簿で570人程でした。
その後60年近くを経て、現在は会員数2300を越える組織となっています。会則の「獨逸文學」は「ドイツ語ドイツ文学」に変わり、また目的は「ドイツ語ドイツ文学の研究および普及に貢献すること」となって、専門研究は国際水準に照らしても大きく進展してきましたが、研究と普及の努力がわが国の文化との関わりで行われていることに変わりはありません。また、「獨逸文學」といい「ドイツ語ドイツ文学」といっても、当初から、言語文化を中心に、広くドイツ語圏の文化が対象でした。その傾向は、最近とくに強まっているところです。さらに、ドイツ語教育についての研究も積み重ねられています。
ホームページが開設されてからは、もう10年近く経ちました。担当してこられた会員のたいへんな尽力によって、これまでにさまざまな工夫や改善が加えられてきましたが、内容のより一層の充実と、見やすさ、使いやすさの向上のために、このたび、半年を越える試作・改良・試行期間を経て、面目を一新することができました。すべて、会員の手づくりです。その作業にあたってこられた現広報委員会を中心とする会員の皆さんにこの場を借りて深謝いたしますとともに、旧ホームページの作成と運営を担ってこられた会員の方々にも、あらためて厚くお礼申し上げたいと思います。
内容としては、学会員への連絡や学会からの情報のほか、より広くドイツ語圏の言語・文学・文化についての情報なども、依頼に応じて掲載するようにしています。精選したリンク集もあります。新しく、コラム集や、リレーエッセイ集も掲載するようにしました。会員に限らず、関心をお持ちの方はどうぞ時々覗いてみて下さい。また、ホームページ以外にも、学会員の情報交換の場のひとつとしてメーリングリスト「Deutsch」があり、現在500人近い会員が登録して、さまざまな情報を交換しています。さらに、これも中に案内がありますように、「Rundbrief」は、学会員でない方にも登録・受信していただける、学会発行のメールマガジンです。どうぞご活用ください。
今期の理事会では、当初から「研究」だけでなく「普及」をも目的としてきた学会の趣旨に応じて、広い意味の広報活動を盛んにしてゆきたいと考えており、ホームページ一新もそのためにお願いした一大プロジェクトでした。新ホームページを、これからも、より発展させていきたいと考えています。皆さまからのご助言、ご提言をお待ちします。


(2006年2月10日)