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「ドイツ語文学翻訳概観」について

 

●趣旨

 1900年から2005年前半までに刊行された「ドイツ語文学」の翻訳書を調査し,その全体の傾向,およびどのような作家・作品がいつ頃どれだけ翻訳されてきたのかを示す。「日本におけるドイツ年」に際して,長く豊かな伝統を持つドイツ語文学翻訳に関する概観を得ることが目的。作成された資料(ドイツ語版)は,109日~10日に同志社大学で開催された「日本独文学会 秋季研究発表会・第4回国際会議」で展示・紹介された。

「ドイツ語文学」=ドイツ語で書かれた文学(作品)の意。ドイツ語で著作をした人々の国籍はドイツ・オーストリア・スイス・チェコ(スロヴァキア)等々さまざまであり,「ドイツ」という地理的・政治的枠組みではまとめられない。

 

●作成者

藤井明彦(早稲田大学教授,日本独文学会理事[特別企画担当])

協力:中直一(大阪大学教授,日本独文学会理事[特別企画担当])

 

●基礎資料

a.早稲田大学図書館所蔵の約2,500のドイツ語文学翻訳書。

従って,これまでに刊行されたドイツ語文学翻訳書のすべてを調査したわけではないが,かなりの蔵書数であり,ドイツ語文学翻訳の「全体像」に近いものの提示が可能と思われる。

b.岡田朝雄/リンケ珠子:『ドイツ文学案内―増補改訂版―』(朝日出版社[東京],2000年)の「翻訳文献Ⅰ」・「翻訳文献Ⅱ」(350-416頁)。

 

●主な集計結果とそれについてのコメント(1と2は基礎資料aに,3は基礎資料bに基づく)

 

1.文学書の翻訳という分野においても,ドイツおよび日本の政治的・社会的状況との密接な連動性がある。

1)それまで年間10冊前後だった刊行点数は,1930年代の後半に著しく増加する。19361943年には毎年約2045点の翻訳が刊行された。 1936年:日独防共協定締結,1940年:日独伊三国同盟調印

2)第二次世界大戦後の10数年間には非常に多くの翻訳書が出版されたが,これはドイツ語文学に限らない現象であろう。

3)1980年代後半には停滞期を迎えるが,1990年代になると市場は再び活気を帯びてくる。19912000年には毎年40点以上の翻訳書が刊行された。1990年代の活況は第二次世界大戦後の活況に次ぐものであった。⇒ 1989年:「ベルリンの壁」開放,1990年:東西ドイツ統一

 

2.日本語に翻訳されることの多い作家のベスト3はゲーテ,ヘッセ,トーマス・マン。ゲーテは2位以下を大きく引き離しており,調査した全期間(約100年間)にわたってコンスタントに翻訳が出版されている。ゲーテに対しては「くりかえしそこに帰って汲まねばならぬ泉」という評(手塚富雄)がある。

兄で同じく作家のハインリヒ・マンと区別するため通例フルネームで呼ばれる。

 

3.日本語に翻訳されることの多い作品のベスト3は,すべてゲーテの作品:『若きヴェルテルの悩み』(32種の翻訳),『ファウスト』(27種),『詩集』(21種)。以下ハイネの『詩集』(20種),シュトルムの『みずうみ』(19種)と続く。ドイツ語文学の一つの作品に30種以上の翻訳があるのはおそらく日本だけであろう。また大著である『ファウスト』の翻訳数も驚異的。このことは,翻訳が常に「解釈」であり,一つの楽曲に幾つもの演奏があるようにそれまでの翻訳とは異なった何かを表現しようとした翻訳者たちの営為の成果と言える。

以上

           

 

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