<学習院大学>「社会と行為から見たドイツ語」研究会第16回研究会のご案内
「社会と行為から見たドイツ語」研究会(SPG-SocioPragmatica Germanica)
第16回研究会のご案内


下記の要領にて、上記研究会を開催いたします。
学期末、学年末のご多用な折でたいへん恐縮ですが、ご関心のおありの方は、ぜひご参加下さいますようご案内申し上げます。



日時: 2010年3月19日(金)、午後2:00より5:30頃まで

場所: 学習院大学 (JR目白駅または地下鉄副都心線雑司が谷駅下車)  

西1号館3階、302教室

キャンパス地図参照:
http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html

プログラム (内容に関しては下記の要旨を参照):

14:00~

1 田中愼 (千葉大学)
「ダイクシスとアナファー:言語行動における2つのストラテジーと文法」

15:50~

2 浜 由依(関西大学大学院 博士課程後期課程)

「日独の「謝罪」表現 
―異なる発話行為で使用される要因―」

世話人:渡辺 学(学習院大学) manabu.watanabe[at]gakushuin.ac.jp
    高田博行(学習院大学) hiroyuki.takada[at]gakushuin.ac.jp

[お問い合わせは、上記世話人まで]

発表要旨

田中愼

「ダイクシスとアナファー:言語行動における2つのストラテジーと文法」

Tanaka (2009)において、言語には指示を同定するための2つの「ストラテジー」というべきものが備わっていること、そしてこのダイクシス(直示)とアナファー(照応)という2つのテクスト内指示のストラテジーは、単にテクストレベルの現象を説明するだけでなく、一言語の文法の各レベル(テクスト、文、語)のシステム全体を決定づけている大きな要素と考えることができることを示した。
本発表では、Tanaka (2009)から特に、ダイクシスとアナファーという2つの指示ストラテジーは、単に指示代名詞や人称代名詞といった個別言語的な語のInventarというべきものを反映しているだけでなく、言語における大きな2つの概念化モデルといえるべきものを提示しているということを、日本語、ドイツ語におけるいくつかの事例をとりあげ、論じていく予定である。

Tanaka, Shin (2009): Deixis und Anapher: Referenzstrategien im Text, Satz und Wort. Dissertation. München.

浜 由依

「日独の「謝罪」表現―異なる発話行為で使用される要因―」

日本語とドイツ語の「謝罪」表現は、異なる発話行為で用いられることがある。日本語では、「謝罪」表現(例:すみません)を用いて、発話行為「感謝」が遂行される場合がある。その要因として、日本人は二つの異なる発話行為において共通の感情を抱くことが挙げられている(佐久間, 1983; 三宅, 1994)。一方、ドイツ語の「謝罪」表現(例:Es tut mir Leid)は、「感謝」表現とは独立しており、発話行為「同情」を遂行する際に使用される場合がある。この要因は、話者が発話行為「謝罪」と「同情」で抱く共通の感情に起因すると考えられる。
 本調査は、日本語とドイツ語の「謝罪」表現が、異なった発話行為で使用される要因を、話者の心理的側面より明らかにすることを目的としたものである。言語表現を規定する変数として「聞き手との距離」および「場面の認識」にも留意し、質問紙調査を行った。本発表では、発話行為「謝罪」、「感謝」ならびに「同情」の日独における話者の感情と言語表現の相違について報告する。