<学習院大学>「社会と行為から見たドイツ語」研究会のご案内
「社会と行為から見たドイツ語」研究会
(SPG-SocioPragmatica Germanica)

第14回研究会のご案内


下記の要領にて、上記研究会を開催いたします。
ご関心のおありの方は、ぜひご参加下さいますようご案内申し上げます。




日時: 2009年3月18日(水)、午後2:00 - 5:00
場所: 学習院大学 (JR目白駅下車徒歩1分) 
西5号館3階、301教室
キャンパス地図をご参照下さい:
http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html

プログラム (内容に関しては下記の要旨を参照):
 2:00- 高田博行 (学習院大学):
言語学はUmgangsspracheをどのように発見したのか? ― 1770年代の「語用論的転回」
 3:30- 山下 仁(大阪大学):
社会言語学のいくつかのテーマとそれらに関する共同研究の可能性について

世話人:
渡辺 学(学習院大学) manabu.watanabe_AT_gakushuin.ac.jp
高田博行(学習院大学) hiroyuki.takada_AT_gakushuin.ac.jp
(_AT_は@マーク)

[お問い合わせは、上記世話人まで]



発表要旨
高田博行: 「言語学はUmgangsspracheをどのように発見したのか? ― 1770年代の『語用論的転回』」
Sprache des Umgangsは、古典古代的な文芸理論の枠内では喜劇の登場人物に語らせるべき文体として言及されるにすぎなかった。これを文学の領域から言語学の領域へ移行させたのは、Adelungである。Adelungは、1774年に「さまざまな生活場面と日常的交際のことば」を自らの辞書記述の対象に含めることを宣言した。その後まもなくUmgangsspracheという合成語が誕生し一般化するのは、この概念が語用論化に成功した帰結である。18世紀末になると、Umgangsspracheは単なる「文章語」の対概念ではなく、Koch/Oesterreicher (1985) のモデルで言うところの「コンセプトとしての話しことば性」を表す概念へと進化を遂げた。このように1770年代以降にUmgangsspracheに対する価値転換があったからこそ、世紀の変わり目になってフランス語や英語での口頭コミュニケーションの習得を目的とする会話本が数多く出版され、Umgangsspracheは外国語教育という関心から新たにスポットライトを浴びることができたのである。

山下 仁:「社会言語学のいくつかのテーマとそれらに関する共同研究の可能性について」
ベルリンの壁が崩壊して早くも20年が経過しようとしている。その結果、ヨーロッパばかりではなく、日本でも多言語化、多文化化が現実のものとなりつつある。このような背景において、日本のゲルマニストがドイツ語圏を含めたさまざまな地域のゲルマニストとほぼ対等の立場でドイツ語の問題について議論することは珍しいことではなくなった。だが、日本のゲルマニストは、日本のゲルマニスト以外のひとびとにどのようなことを発信することができるのだろうか。これについて考えるきっかけとして、社会言語学上の問題提起をとりあげてみたい。つまり本報告では、「言語変種」「言語の社会的機能」「コミュニケーション能力」、あるいは「リテラシー」といった社会言語学のテーマについて述べ、その有効性を指摘し、これら以外のテーマも含めた共同研究の可能性について議論してみたい。