<東京演劇アンサンブル>『ブレヒトのアンティゴネ』公演のお知らせ |
„Die Antigone des Sophokles“ bearbeitet von Bertolt Brecht. Die Aufführung des neuen Tokyo Engeki Ensembles am Brechtraum und am Haiyuza-Theater Tokyo. 1954年創設の「東京演劇アンサンブル」は、劇作家/演出家であった広渡常敏に50年以上にわたって率いられてきた演劇集団であり、いわゆる「ブレヒトの芝居小屋」を根城にして、ブレヒトの理念と方法論を現代の観客に問いかけてきた。近年は海外公演も多く、1993年にはチェーホフ『かもめ』を本場ロシアのモスクワ芸術座で上演して、大きな反響を呼んだ。2006年にドイツで開催されたブレヒト没後50年祭には、アジアの劇団から唯一招待を受け、『ガリレイの生涯』を本拠地ベルリーナー・アンサンブルで上演している。 そして広渡さん亡き後、劇団の現在と未来を新たに見つめ築いていこうとする今、若い劇団員たちによって今回演目に選ばれたのが、『ソポクレスの《アンティゴネ》のヘルダリーン訳を底本としたブレヒトによる1948年の舞台用改訂版』である。この正式には長いタイトルを持つ作品は、長い亡命生活を終えてアメリカからヨーロッパに帰還したブレヒトが、彼の作品中唯一、「ギリシア悲劇」と直接取り組んだ作品である。紀元前5世紀の古代ギリシア世界のポリス国家、1800年前後のフランス革命動乱期のヘルダリーンの近代、そしてナチス政権崩壊後のブレヒトの戦後ドイツが、すなわち国家と正義の問題が、演劇の原理と結び合わされて、重層的に問い直されている。(なお上演パンフレットに、詳細な解説が掲載される予定である)。 劇団員たちの言葉にも耳を傾けてみたい――「今回の上演では、ブレヒト・ルネッサンスとも言えるような、新しい、僕たちのブレヒトを作り出したいという思いで、ブレヒト唯一のギリシア古典劇に挑戦し、この作品に流れる強い現代性のエネルギーを、舞台にのせていきたいと考えています。いまだ、終わらぬ世界中の差別や暴力、恨みや憎しみの連鎖、不可能とも思える“和解”できぬすべての人たちへ、『アンティゴネ』を書いたブレヒトの眼は、厳しくも、やさしいものだと、稽古を重ねる中で感じてきています」。――ブレヒトのテーマ「今日の世界は演劇によって再現できるか」が、〈世界金融恐慌〉の生じた今ふたたび、問われようとしている。関心のある方は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
東京演劇アンサンブル 制作:太田昭 〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17 Tel.03-3920-5232/Fax.03-3920-4433/E-mail:ticket@tee.co.jp URL:http://www.tee.co.jp 文責:大塚直 |