<川崎市アートセンター>ローラント・シンメルプフェニヒ『前と後』ドラマリーディングのお知らせ
ローラント・シンメルプフェニヒ『前と後』ドラマリーディングのお知らせ

“Vorher/Nachher”von Roland Schimmelpfennig. Drama Reading in Kawasaki


ドイツ語圏の主要な現代劇作家のひとりローラント・シンメルプフェニヒの代表作『前と後』が、このたびドラマリーディングのスタイルで日本初公演となります。彼の作品が日本で上演されるのは、これが初めてのことです。
 シンメルプフェニヒは1967年ゲッティンゲンの生まれで、ミュンヘンのオットー・ファルケンベルク演劇学校にて演出を学び、1996年からはフリーの劇作家として、ほぼ毎年のように、若者の熱狂的な支持を集める意欲的かつ斬新な演劇テクストを発表し続けています。現代ドイツ演劇界では「指導的立場にある劇作家」(『フランクフルト・ルントシャウ』紙)と評されています。
 彼の出世作となった『前と後』は、実験演劇祭「フランクフルトの状況2001」のために依頼を受けて執筆され、2001年10月にフランクフルト・TAT劇場のボッケンハイム倉庫にて、ドラマリーディングのスタイルで公開朗読されています。その意味では、今回の上演は、ラジオ放送劇として執筆された初演のスタイルに近い形での上演といえるでしょう。
 総勢39名の登場人物たちがホテルの一室とおぼしき場所を舞台にモノローグやダイアローグ、あるいはシュールなイメージ世界を繰り広げてゆく。その多くは、日常に見られる典型的な局面を描いており、不意に観客であるわれわれ自身との邂逅を準備する。さまざまなエピソードが浮かび上がっては消え、いわば孤独なひとびとの内面世界を「ショートカット」の技法で点描的にスケッチしながら、多様に交響させ、最終的に一枚の群像画――われわれの暮らす同時代の社会状況のある種の雰囲気を生み出している。
 翻訳は、論創社「ドイツ現代戯曲選30」の一冊としてすでに刊行されており、演出を担当するのは、「庭劇団ペニノ」のタニノクロウ氏です。氏は、昨年の岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされた気鋭の劇作家・演出家で、今回は6名の役者によるリーディング上演となります。関心のある方は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。

日 時: 2008年2月16日(土) 19:00~ 一回きりの公演。

会 場: 新百合ヶ丘・川崎市アートセンター「アルテリオ小劇場」。

「国際ドラマリーディングフェスティバル」の一部なので、そのほかにも日、独、仏、米の現代戯曲をリーディングで紹介するという興味深い企画となっています。詳細はこちらをご参照ください。
http://kawasaki-ac.jp/theater/080216/index.html

お問い合わせ:
NPO法人 アートネットワーク・ジャパン/川崎市アートセンター
大久保聖子
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Tel.044-955-0107/Fax.044-959-2200
http://kawasaki-ac.jp/

文責:大塚直(翻訳者)