<ドイツ演劇研究会>エルフリーデ・イェリネク作『雲。家。』公演(PortB)のお知らせ
ノーベル賞受賞女性作家エルフリーデ・イェリネクによる戯曲『雲。家。』2007年3月1日~4日に東京国際芸術祭(TIF)の一環として「にしすがも創造舎特設劇場」にて上演されます。皆様、ぜひご参加ください。




―エルフリーデ・イェリネク作『雲。家。』公演(Port B)のお知らせ―
Elfriede Jelineks “Wolken.Heim.” -Aufführung (Port B) in Tokyo. März 2007.


「ドイツ演劇研究会」より

 ノーベル賞受賞女性作家エルフリーデ・イェリネクによる戯曲『雲。家。』が2007年3月1日~4日に東京国際芸術祭(TIF)の一環として「にしすがも創造舎特設劇場」にて上演されます。ヘルダーリン、フィヒテ、ハイデッガーなど極めてドイツ的・愛国的な詩人や哲学者からの引用/コラージュで織りなされた演劇テクストは、「わたしたち」に批判的に《故郷》の問題を問いかけるとともに、これまで男性中心主義の立場から紡がれてきたテクスト/言葉の問題性をもあぶり出すことでしょう。ドイツ語圏ではヨッシ・ヴィーラー演出で有名になった戯曲です。
 この作品と取り組む“Port B” (ポルト・ビー)は、演出家・高山明を中心に実験的演劇を繰り返す若手の演劇ユニットです。高山明は、演出家タデウシュ・カントールに惹かれ、ヨーロッパで観劇放浪生活を過ごした後、クラウス=ミヒャエル・グリューバーらと出会い、ドイツ本国の実践的な演劇現場で活動を開始した気鋭の演出家で、帰国後に“Port B”を結成、これまでに『ブレヒト的ブレヒト演劇祭における1時間20分』(2003年10月、シアター・カイ)、ハイナー・ミュラー作『ホラティ人』(2005年3月、シアター・カイ)、アイナー・シュレーフ作『ニーチェ』(2006年3月、BankART Studio NYKホール)など、好んで前衛的なドイツ戯曲を手がけています。
 “Port B”演劇の特徴を挙げるなら、後期ベケット以降を示す生命力を剥奪された簡素で静的な舞台づくり、クライストの『マリオネット』を連想させる硬直化した登場人物、無機質な〈物体〉と化した声/演劇的コロスへの固執、娯楽性を一切排除し、いわゆる「プロの俳優」は使わないとする実験的な演劇姿勢、ドイツ本国と同水準/最先端の演劇メソッドを、まったく異質な日本の演劇空間と生産的に対決させる高山の妥協なき演出態度などでしょう。『ポストドラマ演劇』の著者ハンス=ティース・レーマンも高く評価するなど、国内・海外の批評家たちの間で現在、注目され始めています。
 来る三月にはぜひ、最先端のドイツ演劇/“Port B”を〈体感〉されてみてはいかがでしょうか?

日 時: 3月1日(木)19:00~ 終演後に谷川道子・寺尾格によるアフター・トークあり
      3月2日(金)19:00~ 終演後に熊倉敬聡氏によるアフター・トークあり
      3月3日(土)15:00~ 終演後に“Port B”によるアフター・トークあり
      3月3日(土)19:00~ 終演後に藤原敏史氏によるアフター・トークあり
      3月4日(日)17:00~ 終演後に佐伯隆幸・藤井慎太郎氏によるアフター・トークあり

場 所:にしすがも創造舎特設劇場
      170-0001 東京都豊島区西巣鴨4-9-1旧朝日中学校 TEL: 03-5961-5202(TIF)

チケット料金: 一般3,000円学生2,000円(当日要学生証提示)、豊島区民割引2,000円


◎詳しい公演情報のお問い合わせ
 →東京国際芸術祭(TIF) サイト: http://tif.anj.or.jp
 →“Port B”(代表:高山明) サイト: http://portb.zone.ne.jp/index.html
 →ドイツ演劇研究会(代表:寺尾格) サイト: http://homepage2.nifty.com/famshibata/


ドイツ演劇研究会
代表:寺尾格 [color=00000]terao@isc.senshu-u.ac.jp

文責:大塚直