<愛知県立芸術大学>ローラント・シンメルプフェニヒ『つく、きえる』長久手公演のお知らせ
ローラント・シンメルプフェニヒ『つく、きえる』長久手公演のお知らせ
„An und Aus“ von Roland Schimmelpfennig
Die Aufführung der Universität der Künste Aichi in Nagakute

ぼくはケータイを掴むことができなかった。
ぼくの手はまるで――
風になったみたいだった。

 フクシマ問題以降の日本を描いた戯曲『つく、きえる』は、新国立劇場から委嘱を受けて執筆され、2013年6月に東京で世界初演された。当時はまだ東日本大震災の傷跡が生々しく、あえてコメディタッチで観客の心を開き、寓意に満ちた「さかさま」の世界を描くことで、厳しい現実を内省させようと劇作家シンメルプフェニヒは試みた。
 沿岸の小さな町、港にある小さなホテル。月曜日になると三組の中年カップルが必ず不倫を重ねる。彼らは心の中で葛藤を抱きながらも、日々の誘惑を優先させている。このホテルを経営する若者は頻繁にメールを打ち、湾岸警備のため高台にいる娘と連絡を取り合っている。しかし二人が出会うことはない、まるでミツバチとクジラみたいに。やがて震災が起きて、ホテルは津波に呑まれ海の底に沈んでしまう……。
 作品から照らし出されるのは地震国であり、被爆国でもある日本。利益だけを最優先させ、自分も他人も欺いてきた戦後社会。決定的な出来事を経験しながら、なすすべもなく日常に埋没している人びと――。東日本大震災から5年が経過した今、作曲家の山本裕之が新たに音楽を書き下ろし、演出家の寂光根隅的父がこの衝撃の問題作を長久手で取り上げる。

Roland Schimmelpfennig: An und Aus
『つく、きえる』長久手公演
――現代ドイツの劇作家が描いた〈フクシマ問題〉――

作 ローラント・シンメルプフェニヒ
翻訳 大塚直(愛知県立芸術大学准教授)
演出 寂光根隅的父(双身機関主宰)
音楽・音響制作 山本裕之(愛知県立芸術大学准教授)
        天野知亜紀 藤田将弥(博士前期課程)

登場人物:
眼鏡をかけた若者       野老真吾
自転車を持っている娘     松原瑠芙菜(PIANEHONN)
Z夫人(頭を二つ持つ女)   江上定子
A氏(口のない男)      藤中智光(人形劇団むすび座)
A夫人(石になった女)    後藤好子(俳優館)
Y氏(燃える心臓を持つ男)  森下光
Y夫人(蛾)         加藤真紀子
Z氏(死んだ魚)       寂光根隅的父

演奏:
フルート           細川杏子(博士前期課程)
ピアノ            冨田三結(PIANEHONN)
音響             後藤里菜 後藤成美 野間口健尚(学部)

日時:2016年6月30日(木) 
19:00開演 (18:00開場) ※当日は17:30から受付を開始します。
18:30プレトーク 大塚直(翻訳者)×諏訪哲史(芥川賞作家)×寂光根隅的父(演出家)
会場:長久手市文化の家・森のホール 
愛知県長久手市野田農201 ※リニモ「はなみずき通」駅下車、徒歩約12分。
料金:全自由席 一般前売2,000円/学生前売1,000円 
(一般当日2,500円/学生当日1,500円)

主催:愛知県公立大学法人 愛知県立芸術大学
企画:愛知県立芸術大学 芸術創造センター/教養教育 ドイツ語研究室
制作協力:今井あや子
協力:PIANEHONN 人形劇団むすび座 俳優館 双身機関

詳細はwebで。
URL:http://www.aichi-fam-u.ac.jp/info-art-music/tags-music/item/2000-2016-06-02-08-44-09.html

■お問合せ&予約
 Tel.: 0561-76-2873(愛知県立芸術大学 芸術情報課 平日9:00~17:00)
 E-mail: an.und.aus2016@gmail.com
■チケット取り扱い
 CoRich舞台芸術! https://ticket.corich.jp/apply/74765/
 愛知芸術文化センタープレイガイド Tel.: 052-972-0430