<阪神ドイツ文学会> 第66回総会・第220回研究発表会のご案内

阪神ドイツ文学会 第66回総会・第220回研究発表会のご案内




標記の総会・研究発表会を以下の通り開催いたしますので、ご案内申し上げます。阪神ドイツ文学会会員以外の方のご参加も歓迎致します。参加費は無料です。(非会員は総会の審議・議決・役員選挙にはご参加頂けません)

日時: 2016年4月3日(日)13時30分より
場所:神戸大学 神戸大学六甲台第二キャンパス 瀧川記念学術交流会館
住所:〒657-0013 兵庫県神戸市 灘区六甲台町1−1
* 阪神「御影」駅、JR「六甲道」駅、阪急「六甲」駅から神戸市バス(36系統鶴甲団地行・「神大文理農学部前」下車)があります。
* 詳しくは添付の案内図、または下記アドレスをご参照ください。
遠方からお越しの方:http://www.kobe-u.ac.jp/guid/access/rokko/from-far.html
最寄り駅から会場まで:http://www.org.kobe-u.ac.jp/svsc/documents/takigawa_map.pdf

1.総会

1) 幹事諸報告: 庶務、会計、編集、企画、渉外、支部選出理事
2) 審議事項: 2016年度予算について
3) 役員選挙:会長選挙・幹事選挙


2.研究発表会

発表1:野上俊彦(神戸大学博士後期課程)
題目:技術問題への文学的応答 ― 生命と技術に関するE・ユンガーの思索
司会:斧谷彌守一(甲南大学名誉教授)

発表要旨:
科学技術の影響のもと生活様式が大規模に変化した19世紀末以降、ドイツでは「技術による生活破壊」(技術問題)をめぐってさまざまな議論が提出され、やがて政治上・経済上の体制変革によってこの問題を乗り越えようとする気運が高まっていった。1920年より文筆活動を開始した作家エルンスト・ユンガーは、同時代のこうした革命的気分に共感を覚えながらも、政治家でも学者でもなく一人の芸術家として、技術問題の重圧を人間の内面から凌駕していくことをめざした。彼は自身の戦場体験論にサドの自然論やニーチェの思想等を組み合わせ、近代の人間本位主義的思考を修正することを通じて、将来の地球において生命と技術が調和することを期待した。本発表では、生命と技術に関するユンガーの思索を、1920年代におけるその形成過程と方法論に重点を置いて分析し、思想史上の布置関係図におけるその位置づけを探ってみたい。

発表2:久山雄甫(神戸大学)
題目:ゲーテにおける「現在」(Gegenwart)概念
司会:福岡麻子(神戸大学)


発表要旨:18世紀後半に現在概念は時間的含意をもつようになった。ゲーテは新しい語義の成立に立ち会っているが、この語を必ずしも断片的な「いま」の意味だけでは使っていない。『イタリア紀行』や『詩と真実』、あるいは地質学や美学に関する論文から読み取れるのは、自然や芸術作品に「過去をふくむ現在」を見出す歴史的な眼差しの存在である。ゲーテはそうした共時性の直観によって根源的な時空間を経験できる可能性すら示唆している。ただし他方『ファウスト第二部』のヘレナ劇では、充足した幸福な現在を直視することが近代人には困難になってしまった様子が描き出されているとも考えられる。これらの考察を通じて本発表では、ゲーテの現在概念には、たとえそれが時間的な意味で使われているように見えても、多くの場合「威力ある神的他者の現前」という原義がうつりこんでいることを論証し、そうした現在の把握が同時代の思想といかに関わっていたかを探る。

3.懇親会

総会・研究発表会が開かれる瀧川記念学術交流会館内の食堂で開催します。会費は4,000円(学生2,000円)です。当日受付にてお申し込みくださいますようお願いします。