<阪神支部>阪神ドイツ文学会第212回研究発表会のご案内
阪神ドイツ文学会第212回研究発表会のご案内


標記の研究発表会および朗読会を下記により開催いたしますので、ご案内申し上げます。阪神ドイツ文学会会員以外の方のご参加も歓迎致します。参加費は無料です。

日時: 2013年7月6日(土)13時30分より(土曜日開催です)
場所: 大阪商業大学4号館4510教室

〒577-8505 大阪府東大阪市御厨栄町4丁目1-10
Tel (06)6781-0381(代)
近鉄奈良線(準急・区間準急・普通)「河内小阪」駅下車、北東へ徒歩約5分(末尾のURL参照)。大学正門を入って左手の建物です。

発表1:漆谷球美子(関西学院大学博士後期課程)
題目:現代における悪魔との契約―ジェームス・クリュス『ティム・ターラー』の考察
司会:木野光司(関西学院大学)
発表要旨:

ジェームス・クリュス(James Krüss, 1926-1997) は、1956年出版の『ロブスター岩礁の灯台』で一躍その名を知られるようになった児童文学作家である。この作品をはじめとして、彼は故郷ヘルゴラント島を舞台とする短編小説を多く書いている。本発表で取り上げる『ティム・ターラー あるいは売られた笑い』(1962) は、それまでの彼の作品とは趣の異なる、大都市を舞台とする長編小説である。この作品の中でクリュスは、古典的な「悪魔との契約」というモチーフに新しい形を加えようと試みている。― 両親を亡くし孤独な生活を送る主人公の少年ティムの前に、リュフェットという名の男爵が現れる。彼はティムに「全ての賭けに勝つ力」とティムの素敵な「笑い」の取引を持ち掛ける。悲しみに沈んでいたティムはこの取引に応じる。―
 本発表では、クリュスがこの主題によって表現しようとした「笑い」の意味を考察していくこととしたい。

発表2:奥田誠司(関西大学非常勤)
題目:ふたたびフランツ・カフカの『変身』について
司会:宇佐美幸彦(関西大学)
発表要旨:

カフカの『変身』が書かれて100年が経過した。1912年はカフカの創作活動にとって、決定的な転換点となった。この年の9月、『判決』によって自己の文学的可能性を発見したカフカは、およそ2か月後に『変身』の執筆にとりかかる。『判決』では「ロシアの友人」に代表される作家的存在に、『変身』では対照的に人間的過去への執着に重点が置かれており、この書くために必要な孤独への内的志向と、共同体にたいするやむことのない憧れとが、カフカの作品を貫く重要なライトモティーフを形成しているのである。
20年程前に初めて公にした拙論が、『変身』をテーマにしたものであった。カフカについての研究・評論はいまなお際限がない。そのような多義性がカフカ文学の魅力でもあるわけだが、どんな小品、断片にいたるまでも作者の生の姿を投影しているというのが、一貫した私の考えである。本発表ではふたたび『変身』を取りあげ、この物語に秘められた核心的主題を私なりに読み解いてみたい。

発表3:小川敦(大阪大学)・大澤麻里子(東京大学)
題目:ルクセンブルクにおける言語教育政策-イタリア・アオスタ自治州との比較を通して
司会:山下仁(大阪大学)
発表要旨:

多言語国家であるルクセンブルクでは、識字の言語としてドイツ語が、さらに初等教育の早い段階からフランス語が教えられる。一方、国語であるルクセンブルク語は週に一度扱われるのみである。今日、ロマンス語系の移民の増大により、これまでの言語教育のモデルは修正を迫られつつある。一方、イタリアのアオスタ自治州では、フランス語はイタリア語とともに同等の地位を持つ公用語であり、両言語による二言語教育が行われている。また、住民の約4割は家庭の言語としてフランコ・プロヴァンス語を話しており、ルクセンブルクと同様に3つの言語が用いられる社会である。
本発表では、最初にルクセンブルクとアオスタの3言語併用(Triglossie)の構造的な類似点と相違点について整理する。その上で、ルクセンブルクの多言語教育、特にドイツ語教育が置かれている問題点について、歴史的な経緯や現在の言語教育政策、および現場の教員の視点などから、アオスタにおけるフランス語教育の問題点と比較しながら考察する。なお、本発表は本年3月の現地視察(平成24年度特定研究資金「科研費基盤研究A「外国語一貫教育における複言語・複文化能力育成に関する研究」(H12103)」)に基づいている。


*9月の講演会のお知らせ

語学ゼミナール講師テュービンゲン大学教授(日本学)の Viktoria Eschbach-Sabo氏の講演会を開催します。3ヶ月近く先の話ですが、予定表にご記入頂き奮ってご参加下さい。

日時:9月2日(月)17:00-19:00
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス1408教室(アプローズタワー14階)

(阪急「梅田」駅 「茶屋町口」改札口より北へ徒歩5分)
講演題目:Japanisch und Deutsch in der europäischen Sprachpolitik
Die Vereinigung von Europa brachte mit sich, daß es im Rahmen der europäischen Kulturpolitik Sprachen neu verordnet werden. Die europäischen Sprachen werden im Unterrichtswesen besonders behandelt. Japanisch hat seit den 80er Jahren ebenfalls eine wichtige Position im europäischen Bildungssystem gefunden.
Der Vortrag beschäftigt sich mit der Frage, wie Deutsch und Japanisch in den europäischen Richtlinien konzeptualisiert und behandelt werden.
(当日「暴風警報」発令の際には講演会を中止することがあります。関学梅田キャンパスWebsiteの情報に従って下さい:http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/
問合せ先:hanshin_AT_jgg.jp



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*JR「大阪」駅からおいでの場合:JR環状線利用「鶴橋」まで約15分、「鶴橋」で近鉄に乗り換え、奈良方面行き「準急」・「区間準急」・「普通」で「河内小阪」まで約10分です。
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