研究叢書に関する理事会見解
研究叢書に関する理事会見解



 日本独文学会では、2000年度以来、研究発表会でのシンポジウムの発表をもとにした「日本独文学会研究叢書」を刊行し、会員の研究発表に資するよう努めて参りました。

 この度、研究叢書第32卷(2005年4月発行)に掲載された新潟大学初修外国語教育改革をめぐる論説に関して、それが同叢書の一部として刊行されたことにより、そこに見られる言説が日本独文学会の支持するところであるという印象を与えるので、その点に関する学会としての立場を内外に明確にすべきであるとの意見が、会員から寄せられました。

研究叢書は本来、研究発表会で開催されるシンポジウムの記録を残すために刊行しており、刊行規程に従って、シンポジウム発表グループの申請にもとづき、その代表者を編者として、論文等はすべて発表者および参加メンバーが自ら編集・刊行する態勢を採っております。そこで提出される言説は、みな、発表者それぞれが自らの責任で行なう自由な言論として提出されたものであり、それが叢書の一巻として刊行されるか否かは、なんら、言説内容の当否に関する、学会としての態度表明という意味を持つものではありません。

一方、このように自由を重んじて来た結果、研究叢書のありかたは、第1巻に当時の保坂理事長が発刊の辞としてドイツ語で記された「シンポジウムの出来うる限り正確な再現」ということからかなり離れた展開を見、分量的に大幅に拡大された例も出てきました。また、自由な言論が守るべきルールという観点からの問題提起もあります。今期理事会としては、研究叢書のありかたについて、会員の意見を求めながら再検討してゆきたいと考えています。会員の皆様の、ご理解、ご協力をお願いいたします。



                                 (2005年6月)