<学習院大学人文科学研究所>講演会のお知らせ
学習院大学人文科学研究所講演会のお知らせ


下記の通り講演会を開催いたします。ふるってご参加ください。

日時:2012年12月12日(水)16時20分~17時50分
会場:学習院大学 北2号館10階1005号室(人文科学研究所会議室)
 キャンパスマップ: http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html

題目:好意と民法―日独法文化比較の観点から

講師:一木 孝之 氏(國學院大學法学部准教授)

本講演のポスター、リンク先:
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/rihum/1212.pdf

*講演会終了後、懇親会を行う予定です。
*入場無料・予約不要です。

共催:学習院大学文学会

本件の内容ついてのお問い合わせ:
渡辺学(学習院大学人文科学研究所所員)
rihumweb_AT_gakushuin.ac.jp (_AT_は@)

学習院大学人文科学研究所講演
〔概要〕
好意と民法―日独法文化比較の観点から

一木孝之


 日常生活上の好意は、常に法律関係の根拠となるものではないが、ときとして、好意の結果に関する当事者の法的責任が問われることがある。この点、日本の民法においては、たとえば、好意に基づく事務処理を念頭に置いた契約その他の法律関係に関する条文が散見され、また、好意に由来する損害については、当事者の賠償責任を定める諸規定を適用する余地があるといわれる。このうち、とりわけ契約をめぐっては、日常生活上の好意が契約として認知され、法的責任を発生させるのはいかなる場合か、換言すれば、法の埒外にある事実的好意の約束と、法に規律される好意契約を区別する徴表を何に見出せばよいか、という点が問題となりうる。
ここで、諸外国法に目を転じれば、以上の問題意識は日本固有のそれではなく、遡れば、始原としてのローマ法に、その萌芽はすでに存在していたことがわかる。そして、これを継受した大陸法、とりわけドイツ法において、好意と民法に関する精緻な議論の構築を確認することができる。
 こうした問題の考察は、好意をめぐる法律解釈のあり方を検証する作業であると同時に、法領域への好意の「取込み」の妥当性ないし可能性を探ることに他ならない。そこで、本講演では、好意由来の事務処理に関する日独両民法の規定とその解釈を、比較法的観点から紹介するとともに、好意と法の関わりをめぐる日本とドイツの意識の異同につき、在外研究を通じて講演者自身が感じたドイツ人の価値観や見方も踏まえて、若干の印象を述べることとしたい。

以上