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正書法第34条付則1(K.Narita)[J]

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理事のリレーエッセイ
  投稿日: 2008-5-4 21:24
成田克史(名古屋大学)
今、私の傍らにドイツ語正書法辞典が5冊転がっている。大学の研究室にも3冊あるから、合わせて8冊、複本を差し引いても6冊だ。商売道具とはいえ、ずいぶん買ったものである。ドイツ経済の発展に貢献できて何よりと思う。この正書法、一回の改革で済ませるのではなく、十年経ってもう一度変えるあたり、ドイツもなかなか商売上手である。この分で行くと 2016 年に三度目の正直で、すべて元どおりなんてこともあるのかもしれない。そうすれば8冊のうち、最初の1冊以外はお払い箱となって部屋が片付く。それもめでたい。そんな正書法の規則を眺めていてちょっと気になることがある。例えば第34条付則1だ。
Zur Unterscheidung von Verbpartikel und selbständigem Adverb: Bei Zusammensetzungen liegt der Hauptakzent normalerweise auf der Verbpartikel (vgl. wiedersehen, zusammensitzen), während bei Wortgruppen das selbständige Adverb auch unbetont sein kann (vgl. wieder sehen, zusammen sitzen).(Amtliche Regelung, § 34, E1 より)

(注)この引用では「独立した副詞はアクセントを持たないこともある」のようなあいまいな書き方になっているが、ドゥーデン正書法辞典(24. Aufl., S. 1121)には次のような例が示されており、副詞と動詞の組み合わせでは、両方にアクセントが付くことになっている: “wir haben uns auf dem Kongress wiedergesehen [...];aber nur der Blinde konnte nach der Operation wieder sehen”.

これは分離動詞として一語で書くか、副詞と動詞に分けて書くかを見分ける基準のように思えるが、どうも腑に落ちない。ついでながら、このアクセントを判断基準とするやり方は、次のような例にも適用されている。

er ist höchstpersönlich gekommen, das ist eine höchst persönliche Angelegenheit(§ 36, (2. 2) ,E4)
Hotdog oder Hot Dog, Softdrink oder Soft Drink, aber nur High Society, Electronic Banking oder New Economy(§ 37, E4)

ひとつのまとまった概念なら全体としてアクセントがひとつ、ふたつの概念の組み合わせならそれぞれにアクセントがあって然るべきである。つまり概念の数とアクセントの数は連動していると言ってよい。また、ひとつの概念を一語で書き、ふたつの概念は分けて書くというのも理にかなっている。この三つの歯車がうまく噛み合っていれば何の問題もない。つまり、wiedersehen のように主たるアクセントが本来の動詞よりも前の部分にあるならば、この部分と動詞が結んでひとつの概念になっているはずで、それならば一語で書けばよいし、wieder sehen のように動詞にも主アクセントがあれば分けて書けばよい。簡単なことだ。

しかし、ひとつのまとまった概念か、それともふたつの概念の組み合わせか、判断に迷う場合はどうだろう。当然、アクセントの配置も決まらず、一語で書くのか、分けて書くのかもわからなくなる。「一概念か二概念か迷ったが、発音してみたら主アクセントがひとつだったから一概念だ」などということはありえない。

結局、上の基準は、アクセントという「目に見える」現象を持ち出して、一語か否かを客観的に決めることができるように書かれているが、実際にはそれは母語話者が自らの既知の語彙項目についてのみ為しうることではなかろうか。しかも、既知であれば一概念か否かも明確だろうから、いちいちアクセントで確認するまでもなく、どう書くべきか、判断することができるはずである。私のような学習者はしょっちゅう迷っているから、辞書が頼りで、なかなか自分で判断できるようにはならない。でも、母語話者だって迷うことはあるだろう。

それにしても、ドイツ語の母語話者のアクセント感覚というのはどんなものなのだろう。母語話者以外にはなかなかつかみにくい。ドイツ語のアクセントの位置を特定する簡便な方法が見つかって、本当にアクセントから、ひとつのまとまった概念かふたつの概念の組み合わせかの判定ができるようになったとしたら、それはそれでめでたいことなのだが。

成田克史(名古屋大学)
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