NHKラジオ外国語講座新編成に寄せて(J.Matsuura)[J]   作成日:2008/03/29
NHKラジオ外国語講座に関して、昨年4月初め、英語以外の7言語に関係する13学術団体の代表者が連名でNHKに要望書を提出したこと、また、それに基づいて、5月末にはそのうち代理を含む9名が橋本元一NHK会長(当時)と会見し、要望を直接伝えたことについては、当ホームページでご報告したところです。内容については「長期掲載情報」をご参照ください。そこでも触れた、一週間の講座の(同内容の再放送枠を含めた総時間数ではなく)「正味時間」を減らさないでいただきたい、出来ればむしろ増やしていただきたい、という点を中心に、その後も制作責任者の方々と幾度か話し合いの機会を持ちましたが、それをつうじて我々の要望が基本的に受け入れられ、講座正味時間充実の方向で具体的な検討が進められた、と聞いています。
そしてこのかんに、2008年度の放送プログラムが発表になりました。NHKホームページでも見ることができ、ご存じの方も多いと思います。細部は言語によって違うようですが、骨子は、ドイツ語に即して言えば、月曜から金曜まで15分x5=75分(および同日再放送)の「まいにちドイツ語」と、月曜から土曜まで20分x6=120分の「アンコールドイツ語講座」(20分x2回の従来の「応用編」3本の再放送)の2本立てになる、ということです。
つまり、以前の放送を再活用することによって、一週間の講座「正味時間」は、従来の20分x6=120分から、75分+120分=195分へと大幅に増え、月曜から金曜の間は、一日に、広義の入門・初級編と応用編の両方が放送されることになります。同日再放送を含む講座放送総時間も、120分x2=240分から、75分x2+120分=270分へと30分増加し、7言語合わせて、英語以外の外国語講座がラジオ第二放送の総放送時間中に占める割合自体も、かなり増えたと言えるでしょう。
その一方、長年にわたるリスナーにとっては新しい内容が少なくなるなど、マイナス面を含めてさまざまな見方や心配もあると思いますが、上記の話し合いの文脈に照らして、今回の改定は、講座の正味時間を従来より増やし講座を充実してゆくという方針の一環と理解しています。新収録の部分が減っていることについては、制作条件上の制限がある中で新態勢へ移るにあたっての準備状況などが関係していると推測され、2009年度以降、内容面を含めた一層の充実を期待したいと思います。それへ向けて、我々としては、外国語とその教育にたずさわる者の集まりとして、応援団ないし良い意味の圧力ファクターになることも役目でしょう。担当講師を務められる方々の御健闘をお祈りするとともに、他外国語関係者の方々とも引き続き連携して、関心を同じくする皆さんと一緒に、放送の活用やテキスト購入の勧めなどで講座を応援しつつ、今後の展開を見守ってゆきたいと思っているところです。

2008年3月下旬
              
(「長期掲載情報」は→ こちら


松浦 純