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この秋に来日する女性作家カトリン・レグラについて(N.Uematsu)[J]

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演劇批評
  投稿日: 2005-10-17 16:50
植松なつみ(一橋大学)
カトリン・レグラ(Kathrin Röggla)

1971年オーストリアのザルツブルク生まれ。数多くの文学賞を受賞し、今日もっとも注目を集める若手作家の一人である。
ザルツブルクとベルリンの大学でドイツ語・ドイツ文学とマスコミュニケーション学を専攻。執筆活動の開始は早く、十代の頃からザルツブルクの文芸雑誌 erostepost に参加。1992年以降はベルリンの若者文化の中心地とされるクロイツベルク、そしてノイケルンに活動場所を移す。デビュー以前は、演劇やパフォーマンスの舞台活動や演出も行っていた。現在は、戯曲、放送劇に加えて、インターネットを通じた作品発表にも意欲的で、多岐にわたる創作活動を行っている。

1995年に散文集『だれも後ろ向きには笑わない』(Niemand lacht rückwärts)でデビューし、その後1997年に『走り去る音』(Abrauschen)、2000年に『狂った天気』(Irres Wetter)を発表、2001年にはレグラがニューヨーク滞在中に起こった9・11同時多発テロ事件を扱った『リアリー・グラウンド・ゼロ』(really ground zero)が出版された。この作品が『フェイクレポート』(fake reports, 2002年初演)のタイトルで劇場版に書き直されたのを契機に、以後の作品は戯曲中心となり、2005年6月までに計七本の戯曲を書いている。

レグラの作品には、ニューエコノミー社会の歪んだ姿を描く『私たちは眠らない』(wir schlafen nicht, 2004)、燃え尽き症候群の『ジャンクスペース』(junk space, 2004)、負債を扱った『外で吹き荒れる不気味な数字』(draußen tobt die dunkelziffer, 2005)等、社会に潜む不安を描き出そうとするものが多い。しかし作品から受ける印象は深刻なものではない。ドイツ語の規則を無視してすべて小文字で書かれた文章の持つリズム感、ことばの繰り返しや韻によって生み出される語感、専門用語や造語、新語、スラングの多用といったレグラ独特の文体によって、笑いの要素も散りばめられた軽快なテンポの作品となっているのだ。

2005年の秋には来日が予定されている。日本語で読める作品は短編『スプリンター』(Deli Nr.1(沖積社)所収)、小説抜粋『私たちは眠らない』(Deli Nr.5(沖積社)に所収予定)、戯曲『私たちは眠らない』(論創社より刊行予定)。

植松なつみ(一橋大学)
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