認識の色メガネ?(K.Hosaka)[J]   作成日:2007/11/11
かつて、ハインリヒ・フォン・クライストは、カントを読みその物自体と現象に関する哲学に影響されてヴィルヘルミーネ・フォン・ツェンゲ宛に「われわれが真理と呼ぶものがほんとうに真理なのか、それともそう見えるだけなのか、われわれには決定できません」と書き送り、併せてその根拠を、ガラスの比喩を用いて「もしもすべての人間が眼でなく緑色のガラスをつけているとしたら、人間は、自分がそれを通して見ている対象が緑色であると判断せざるをえないのです」(„wenn alle Menschen statt der Augen grüne Gläser hätten, so würden sie urteilen müssen, die Gegenstände, welche sie dadurch erblicken, sind grün“)と説明した。1801年3月22日のことである。
クライストのカント体験はあまりにも有名であり、いまさらの感なしとしないだろう。しかし、周知の逸話から書き始めたのには理由がある。外でもない、クライストが手紙で使った„grüne Gläser“という言葉が長年気になっていたからである。これはたんなる「緑色のガラス」なのだろうか、それとも彼は「緑色のメガネ」を想定していたのだろうか。

今春、ゲーテ協会総会のためにワイマルに行き、最終日に、エクスカーションでゲーテとシラーの足跡を追ってイェーナを訪ねた。イェーナでは、ついでに、町が生んだレンズ王カール・ツァイスの「光学博物館」にも案内されたが、そこには、再現されたツァイスのレンズ工房だけでなく、詳細なメガネの歴史も展示されていた。意外だったのは、展示物の中にヘルダーリン特注の細身のメガネがあったことである。ゲーテやヴィーラントがメガネを愛用していたことは夙に知られているが、あのヘルダーリンが細身のメガネをかけて読書し詩を書いている姿は想像したことがなかった。しかし、それよりさらに興味深かったのは、案内係の、ガラス工芸とレンズ作製の技術の進歩に応じて18世紀後半にはサングラスも作られ実際に用いられるようになっていたという説明であった。つまり、クライストがこの手紙を書いたときには、すでに、サングラスが実用化されていたのである。だとすれば、カントを通じて認識の危機に遭遇したとき、クライスト青年はすでにサングラスの存在を知っていたと考えても間違いないかもしれない。新製品のグリーンのサングラスを見ているクライスト、いや、試みにそのサングラスをかけてみているクライスト。そんな姿を想像すると、彼の用いた理屈っぽい比喩がにわかにきわめて親近性を帯びてくるではないか。

クライストの„grüne Gläser“、それは「緑色のサングラス」であった。いまはそう信じたい気持になっている。

保坂一夫(日本大学) 
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2015/09/01
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