2015年度春季研究発表会のこと (M. Katsura) [J]   作成日:2015/09/09
 2015年5月30日(土)、31日(日)に武蔵大学で日本独文学会春季研究発表会が開催された。晴天にも恵まれ、受付で参加費を支払ってくださった来場者の数は1日目が392名、2日目が152名、合計544名に達し、無事に終了した。運営にかかわった一人として、当日までのことを書き記しておきたい。
 周知のとおり、春季研究発表会は首都圏の大学が持ちまわりで会場を提供している。武蔵大学でも2003年に学会を開催しており、今回の開催は12年ぶりである。当然教員の顔ぶれも大きく変わっている。私自身、武蔵大学に勤務するようになって5年目であり、前回の開催事情は知らなかったが、当時のことをよく知る光野正幸先生がどっかりと腰をすえて種々の手配を細部に至るまで行ってくださったこと、そして昨年度いっぱいで定年退職された新田春夫先生が閉会の辞を述べてくださったこと、さらに学会員ではない同僚教員も快く協力を申し出てくれたことが、今回無事に学会を終えることができた一番の要因である。この場を借りてあらためてお礼を申し上げたい。

 前回開催時ともっとも異なる点は、前回メイン会場だった8号館とともに、2012年に完成した新1号館が利用されたことである。正門から最も近い1号館は、ガラス張りで採光がよく、また音響設備のよい大教室が多いため、受付や総会・シンポジウム会場、書店コーナー、託児室および休憩室に利用することにした。また8号館は中規模の教室が充実しているため口頭発表会場に利用することにし、見晴らしの良い7階のラウンジをポスター発表の会場にした。また最上階の50周年記念ホールを懇親会会場とした。1号館と8号館は隣り合っているため、それぞれの会場の行き来は容易であったのではないかと思う。また、1号館2階の書店コーナーは吹き抜けに設置した受付からすぐ見える場所にあったため、利用しやすかったようである。その一方で、8号館3階のロビーに設置した各種団体用のブースは、研究発表が行われた階とは異なる階だったためか、よっぽど用事のある会員でないかぎり立ち寄ることがなかったようである。ブースを受付から会場までの動線上に設置したり、わかりやすい掲示を増やして誘導したりするなど、もう少し工夫ができたのではないかと反省している。また、今回は2日目に暑さのあまり体調を崩した来訪者もおられたが、1号館には横になって休むことのできるスペースがなかった。そのため空いていた教室のブラインドを下ろして目隠しをし、机の上に寝てもらうほかなかった。学会が保健室の開いていない週末に開催されることを考えると、休憩室とは別の教室を確保しておくなど、急病人が出た場合の対応の仕方をあらかじめ考えておいたほうがよかったかもしれない。

 当日会場で手伝ってもらうアルバイトは、学部生26名、院生および卒業生が18名、合計44名にお願いした。会場設営のほかに、受付、会場、休憩室、クロークなどの仕事があり、2日間ともアルバイト可能な者から半日のみ可能な者まで、人によって働き方はさまざまであったが、人数としてはもう少し多めに確保しておいてもよかったように思う。学生アルバイトには特に事前の説明はせず、学会当日に担当場所と仕事内容を伝えた。参加費ならびに懇親会費を徴収する受付業務については、慣れない仕事で学生が混乱するのではないかと心配もしたが、勝手をよく知る大学院OBの方々に適切にカバーしていただくことによって、大きな混乱もなく仕事を進めることができた。特に三澤真先生には、前日の設営から、会場の掲示物の作成、懇親会の司会にいたるまで大車輪の活躍をしていただいた。設営に関していえば、前日29日(金)は午後遅くまで授業があるため、受付、各種団体ブース、総会会場の設営など、必要最低限のことのみ行い、残りはすべて学会当日の午前中にアルバイト全員で行った。ここでもOBの方々に大変お世話になった。武蔵大学では毎年春と秋に独検の試験場を引き受けているが、その際にもOBの方々には実施準備から当日の運営までいつも協力していただいている。また独文学会とは異なる学会・研究会の開催にあたってもOBの方々には協力していただいており、そうした会場運営のノウハウの蓄積が今回の学会開催でも大いに生かされていたと感じている。やはりこの場を借りてあらためてお礼を申し上げたい次第である。

 懇親会については、過去の実績から慎重に参加者人数を見積もり、160~170名の参加を想定して準備を進めた。キャンパスのある江古田周辺は飲食店が充実していることもあり、懇親会をパスして飲みに行かれてしまうのではないかという声もちらほら聞こえ、少々不安であったが、結果として予想を大きく上回る208名の方が懇親会費を支払って参加してくださり、開催校としては一安心だった。その一方、食べ物の用意が量的に充分でなかったという声も聞かれた。飲み物は生協で用意していただいたワインやビールのほかに、ドイツビールを扱っている知り合いの業者(武蔵高中出身で学部時代の同期)に頼んで、ドイツビールの小さな試飲会を行ってもらうことにした。グラスにビールを注ぐ彼のレーダーホーゼン姿はなかなか会場に溶けこんでいた。

 上に書いた以外にも学会事務局・理事会庶務委員会および大学事務部局をはじめ、さまざまな方々にお世話になった。心から感謝を申し上げたい。このままいけば、十数年後にふたたび学会開催の順番がめぐってくることになるであろうが、今回得た経験を活かして今後につなげていければと考えている。

桂元嗣 (武蔵大学)